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カレッジマネジメント【190】 2015 アベノミクス・東京五輪の影響で変化の兆しが見える「学科のマーケット・トレンド」寺裏誠司

企業では、マーケティング戦略の一環として、「プロダクト・ライフサイクル」という考え方がある。学部・学科も、言わば大学の“商品ラインアップ”と位置づけられる。そのため中長期的に見ると、やはり商品と同じように「ライフサイクル」が存在している。こうした学部・学科におけるライフサイクルのトレンド分析を行ってみると、社会環境の変化に大きく影響を受けていることが分かる。これまで2008年、2010年、2012年とトレンド分析を行い、大きな反響を頂いた。
今回の分析では、新たな変化の兆しが見えるものとなっている。中長期的に見ると、これまで2008年9月のリーマンショック、東日本大震災を経て、長引く不況や将来不安が、学部・学科のトレンドに大きな影響を与えてきた。しかし、2012年以降のトレンドを見ると、アベノミクスや東京オリンピック開催決定などによって、景況感が少しながらも改善(就職環境の改善)し、グローバル化の急激な進展などの社会環境の変化も相俟って、学部・学科のトレンドにも変化の“兆し”のようなものが見て取れる。
カレッジマネジメント162号(2010年5月号)の特集「学科のマーケット・トレンドと学部・学科開発」において分析した学科のマーケット・トレンド以降、1992年から2012年までの20年間のデータをもとに4年刻みでトレンド分析を行ってきた。学科のマーケット・トレンドは社会情勢の影響を受けやすく、2008年9月のリーマンショック以降の長引く不況、2011年3月の東日本大震災等の社会情勢の変化がトレンドに変化を与えてきた。本特集は、2012年の4年後である2016年に特集予定であったが、2012年12月26日の安倍政権発足後の政策であるアベノミクス、および2020年東京オリンピック開催の決定などが与えた影響か、学科のマーケット・トレンドに興味深い「兆し」のような変化が見て取れたため、2014年の中間報告を行いたい。

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